FCアンケート集計結果(05年4月1日現在、70FCからの回答の一部)

 本年4月に実施しました第2回「フィルムコミッション・アンケート」の集計結果を発表いたします。
 このアンケートは、05年4月1日現在で、全国フィルム・コミッション連絡協議会に加盟している72のフィルムコミッション(以下、FC)にアンケート調査をし、70のFCから回答を得ました。
 「 」内に、協議会のまとめコメントを付けてあります。

1、運営予算 「FCの規模には相当の違いがある」
 05年度の運営予算は、1千万円以上が10FC、500万円以下が全体の70%を越えています。活動が大きく見える割に、予算は小さいと言えます。ちなみに最も大きな予算を計上しているのは、いばらきFCで3,750万円です。


2、スタッフ数 「FCは2人体制が主流」
 FCを担っているスタッフは、専任、兼任などさまざまですが、1人〜4人で、全体の88%になります。なお、専任を置いていないFCが43、またスタッフに映像制作経験者がいるFCは12あります。


3、支援実績内訳「年間4000件の支援作品の内、テレビ番組が50%を越える」
 約4000件の支援件数をジャンル別に見ると、以下の通り。映画545件、テレビドラマ710件、ドラマ以外のテレビ番組1333件、CM282件です。一般映画の1年間の製作本数は、約200本ですので、1作品で複数のFCを利用している結果が現れています。


4、FCへの問い合わせ数 「問い合わせ総計は、13300件」
 1年間に100件以上の問い合わせを受けるFCがほぼ半数あります。東京ロケーション・ボックスへの問い合わせは3900件にのぼります。協議会ホームページのFCリストに掲載されますと、問い合わせ数は2倍から5倍程度に増えます。


5、実際に撮影した作品数 「小さなFCでもしっかり仕事をしている」
 FCごとに撮影が行われた件数を表しています。100件以上が9FC、50件〜99件が17FC、49件以下が43FCです。件数が多いのは、制作者が集中する東京を含む首都圏近郊です。小さなFCでも年間10件以上撮影が行われていることは、FCに対する期待度が大きいと言えるでしょう。


6、年間の撮影日数(*) 「撮影日数だけでも大きな数」
 (*)以下の3項目(6,7,8)については、北海道LS、仙台・宮城FC、東京LB、横浜FC、金沢FC、大阪LS、神戸FO、長崎Cなどは回答困難とのことで、集計に入っておりません。


7、制作者の現地宿泊数(*) 「宿泊だけでも大きな数字」
 ロケーション撮影による直接的経済効果のひとつが、スタッフの宿泊費用です。年間5000泊以上あったFCが6ヶ所あります。宿泊単価を安く6000円と見ても、3000万円以上の金額が地域に落ちたことになります。


8、直接的経済効果(*)「回答したFCは約半分ですが、これだけでも大きな金額」
 年間の経済効果を算出しているFCのデータです。1億円以上が5FC。最も数字が大きいのは、いばらきFCの2億8千万円です。


9、他の地域に似せて撮影できる場所 「FCの大きな魅力のひとつ」
 FCは、その地域が特定できる撮影場所だけを案内しているわけではありません。無名性、匿名性で、撮影地域の名前が出ない場合でも協力する姿勢をとります。約70のFCがその対応を意識しています。


10、似ている風景 「制作費予算の削減に大きな味方」
 ちょっとしたシーンであれば、欧米やアジアの風景を撮れるところがあります。北海道に似ている場所があると8FCが答えています。


11、撮影許可申請をしているか。 「FCの積極性の現われ」
 何らかの形で、FC自身が許可申請をしているところは、過半数あります。


12、どこへの許可申請代行を行っているか。「ワンストップ・サービスの指標」
 代行できる全てと答えたFCが3、警察への許可申請代行をしているFCは14です。


13、警察からの協力は得られているか。「地方の警察はほとんどが協力的」
 1道路使用、道路封鎖、警察署の撮影など、地元警察との協力関係は、60%のFCが良好と答えている。一般に、大都市や繁華街を除き、撮影については全国的に協力的といえます。


14、道路使用許可が下りるまでどのくらいの時間がかかるか。「長野の警察の対応に驚き」
 各地域の警察署によって、申請から許可が出るまでの時間は相当の開きがあります。長野県のFCでは、諏訪が5分、松本と長野が10分と、他の地域に比べ、非常にわずかな時間で許可が下りています。


15、消防署との関係はよいか。「一般的に消防署は協力的」
 消防署は、大半の地域で協力的に対応してもらっています。「雨降らし」では、消防署の協力は必須です。


16、エキストラ登録制度 「日本のFCならではのサービス」
 撮影の際のエキストラについて、登録制度をとっているFCが、7割あります。制作会社にとっては、地元で多くのボランティア・エキストラを調達できることは、経費削減につながります。


17、エキストラ登録者数 「毎年増加の一途。ただ名簿管理は大変な仕事」
 登録制度に登録している人数は以下の通りです。人数の多いFCは、さっぽろFCの4500人、大阪LSの3300人です。


18、海外からの撮影誘致の関心はあるか。 「徐々に進む国際化」
 FCが存在する以前は、海外から日本に撮影誘致するといった発想はありませんでしたが、今や海外を意識するFCが増えてきました。とはいえ、積極的と答えたFCは約2割、まだその段階ではないと思っているFCが半数を超えています。


19、どこの地域からの撮影隊を呼びたいか。 「アジアが主なターゲット」
 前問で、「積極的」「普通」と答えたFCに、ターゲットの海外地域を聞きました。地域別に総計するとアメリカ17、ヨーロッパ4に比べ、アジアが30で、近隣からの誘致に関心が高いということが分かります。


20、他のFCと連携しているか。 「FCの地域連携は確実に進んでいる」
 1協議会では、近隣FCとの連携・ネットワークを推進しており、すでに60%以上のFCが複数のFCと連携を行っています。


21、今、FCで直面している課題が何か。 「少ない人員で忙しい日々」
 「人材・人手の確保」に苦心しています。少ないスタッフで日夜を問わず、多くの仕事をこなしている現状を象徴しています。


22、画像データベースを持っているか。 「ホームページとリンクするDBは重要」
 約8割のFCがデータベースを構築しています。


23、データベースに収納されている画像点数 「FCによって相当の開き」
 各FCによって、収納点数に相当の開きがあります。平均的なのは200点〜1000点です。最も多く収納しているFCは、えひめFCで、約3万点です。


24、事務所にストックされている写真点数 「これも相当の開き」
 データベースにいれていないものも含めた総点数です。最も多く収納しているFCは、えひめFCで、約3万点です。


25、保険についての対応 「次第に認識が高まる保険加入」
 撮影の際に、映像制作者に対して、保険加入の有無などの確認をどのようにいっているかについての回答です。約半数のFCが、口頭を中心として確認をしています。海外では、保険証書のコピーを義務として提出させているFCが多いですが、日本ではまだ徹底されていません。
 借用した施設への物的損害や、撮影に協力した関係での地域の人の怪我など、保険に入っていなかったために、トラブルとなることがあります。協議会として、そうしたことを防ぐために保険について、研究していきます。

 

 
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