FCアンケート集計結果(06年4月1日現在、69FCからの回答の一部)
'06年4月、例年通り全国FC連絡協議会加盟FCにアンケートを行ないました。アンケート実施当時加盟FC87のうち69FCから回答(回答率79%)をもらいました。その主なポイントを紹介します。
前年度アンケート(2005)と比較して、特に大きな変化はありませんが、FC活動が徐々に着実に成長していることがわかります。
(文責 専務理事 前澤哲爾)
1 予算の状況 Q3「予算規模」とQ4「予算増減」
前年度とほぼ同じで、予算1000万円以上は10FC、200万円以上1000万未満が23FC、200万未満が31FCであった。
日本のFCの平均予算は、約200万円程度である。
1000万円以上の予算で運営されているFCは、都道府県6、指定都市2、市2(藤沢、姫路)であった。
地方財政は苦しく、さらに経費削減が図られた。増えたのはわずか10FC、減少は36FC(61%)に上る。ただし、前年度も増加15FC、減少34FCで、FCを立ち上げた後は、多くのFCで予算縮小されていると言えよう。
予算は、今後とも増えていくことは困難と思われる。機能の充実したFC運営のためは、地域協力がさらに必要となり、進んでいくと見られる。
各広域ブロックの中核都市がプロモーションやマーケティングを中心的に担い、各地域の市町村はネットワークをして、実際の撮影協力を行なっていく仕組みになっていくだろう。
2 スタッフの動向 Q5「職員数」
スタッフ数は前年度とあまり変わらない。 専任職員の全国総数は前回と同じ49名だが、専任を持つFCは24から30へ増加した。逆に、兼任職員数132名から124名に減少している。 少しずつであるが、専任化が進む傾向にある。 職員数は、世界的に見ても、1〜2人が多数を占める。ただ、世界各国のFCは、ロケには同行せず、地域にある映像関係者が有償で協力する体制を作っている。日本では、全ての業務をFC担当者が行なっており、超多忙であるが、将来は、地元にロケサービスを行なう会社やNPOができることが望ましい。
3 撮影支援実績 Q7「撮影日数」「宿泊数」「経済効果」
延べ120日以上の撮影実績があるFC数は13から23に増加し、さらに180日以上は、5FCから9FCへ増えた。 現地での延べ宿泊数も増加し、1000泊以上は16FCから22FCになった。経済効果として1億円以上を算出したFCは、前年と同じ5FCで、1000万円以上は、前年度に比べ2つ増加し22FCとなった。 一般的に、撮影実績が増えていると言える。
4 Q14「道路使用許可を得るための所要日数」
前年とほぼ同じであり、地域によって相当のバラツキがある。 最長で2週間という回答がある中で、10分以内が3FCある。 多い順に並べると、3日16FC、7日13FC、2日12FC、5日8FCである。
5 Q16「エキストラ」
多くのFCがエキストラ手配に、かなり積極的である。 エキストラ登録制度を行っているFCが、43から50(74%)に増加し、登録者数は、増加傾向で、1000人以上が10FCもある。 地域での撮影にエキストラ提供のニーズは依然大きい。
6 Q17「タイアップ」
タイアップ要求に対して、明確に「しない」態度表明をしているFCが19から26(42%)に増えた。FCは充分気をつけていると思うが、トラブルが発生すると、問題解決が難しい。紹介と言えどもより慎重な対応が望まれる。 FCではない地域の団体や自治体が、作品製作に資金提供することを否定するものではない。 しかし、その資金協力が経済的効果や文化的効果の点で、有意義かどうかをよく見極めておくべきである。近年、「地域発映画」がたくさん製作され、地域の情報発信の現れとしては歓迎すべきだが、一方、全国各地で公開できる作品はごく限られている。期待倒れの場合も多く、極端な場合は、作っただけに終わるケースもある。 日本の配給システムの現状を理解した上で、どのように多くの人々に見てもらえるようにするかも考えておくべきだ。
7 Q18「FCのロケサービス以外の活動」Q27「インセンティブ」
今回初めて、「上映支援」と「助成制度」と答えたFCが各2件あり、「インセンティブ」があると8FCが回答した。 FC活動が広がりを見せてきた結果であると考えられる。
8 Q20「海外誘致」
前年調査の結果とあまり変化はない。丁度半分が海外誘致を意識し、半分がその状態ではない、と答えている。海外からのロケは、呼び込んですぐ来るわけではないし、その反対に「その段階ではない」ところでも来てしまうことがある。 日本のFC活動の成果などもあり、ここ毎年、コンスタントに外国映画が日本で撮影されるようになってきたが、さらに増やすためには、。FCだけの力ではダメで、海外製作者と一緒に仕事ができる共同制作者の力が必要である。
9 Q21「他のFCとの連携」Q22「特筆すべき点」
協議会ではブロック化を打ち出し、連携強化を進めてきたが、今回、複数のFCと連携しているFCが、39から47(71%)に急速に増加した。次第に広域化の必要性が認識されてきたと思える。
10 Q23「課題」
人材の確保を急務と考えているFCが、前年度と同様に一番大きく32FCもある。 予算の縮小の中で、優秀な人材の確保は、常に第1課題に違いない。
11 Q25「データベース」
全体の80%(55FC)がデータベースをもち、3FCが準備中である。 収納点数もストック点数も前年よりも着実に増加している。
12 Q26「制作者への保険加入」
保険加入について、口頭・書面も含め確認するFCが前年の34から45(64%)に増加している。トラブルが起こる前に、確認は全FCが速やかに行うことを期待したい。
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